みんなの学校

 

すべての子どもたちが地域の学校で、そしてどんな授業も同じ教室で一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」。理想はわかるが、なかなか実践できない。学力面でも行動面でも大きな個人差のある様々なタイプの子どもたちを、一体どうやって同じ教室で一緒に学ばせるのか。考えても考えても、いいアイデアがなかなか浮かばない。

 

それはなぜだろうとずっと考えてきて、ふと思い浮かんだことがある。私たち自身に、これまで「一緒に学んできた」経験があるだろうか。小さい頃から養護学校があり、特殊学級があった。子どもの頃から学校で、「みんなと同じことができなければ『分ける』という方法があるんだ」ということを学んできた。分けないで一緒に学んだことがあっただろうか。分けないで一緒に学ぼうとしてきた大人に出会ったことがあっただろうか。そんなことをしたことも見たこともないのに、どうしたらいいかなんて簡単にわかるはずがない。

 

すべての子どもたちが同じ教室で一緒に学ぶ実践を、初めて動画で見たのが『みんなの学校』である。大阪の公立小学校の実践を1年間撮り続けたものを編集したドキュメンタリー映画。こんな学校の様子をドキュメンタリー映画で観れるなんて、映画好きの私にとってはこの上ない喜びだった。

 

そこには、決して揺るがない信念を持った校長のもと、ありのままを受け入れ、本音でぶつかり合い育み合う教職員や子どもたちの姿があった。そこにある言葉も、表情も、すべて本物だった。公立の学校でこんなことができるなんて。まさに現場からの教育改革である。

当時校長だった木村泰子さんは、著書「『みんなの学校』が教えてくれたこと」(小学館)の中でこう述べている。

 

「開校以来『インクルーシブ教育』という言葉を使ったこともありません。当たり前のことを、当たり前に、みんなで取り組んできました。」

 

困ったら助け合う。決して一人も排除せず、一人もほっとかない。どうしたらいいかは一緒に考え、ともに学び合う。そんな当たり前に大事なことを、どんなことよりも最優先してきた結果が、この学校の実践なのだろう。本当に大事だと思うことを、どれだけ本気で優先するのか。しないのか。私との一番の違いはそこだと、痛烈に感じた。

 

これまで実際には見たこともない教育に、これを読んでくださっているみなさんと一緒にチャレンジしていきたい。分けようとすれば、分けようとする子どもが育ち、分けようとする社会をつくる。ともに生きようとすれば、ともに生きようとする子どもが育ち、ともに生きようとする社会をつくる。これまでの一斉画一型授業や学習規律、授業の流し方や机の並べ方など、すべてを一度シュレッダーにかけよう。
学校とは、助け合うことを学ぶところだ。「助け合う仲間づくり」を本気で最優先し、思い切って新しい教育を創造していこう。その方が絶対、おもしろい。

 

2014年 /日本/106分/ 関西テレビ放送

 

 

↑Page top