アナと雪の女王

 

~レジリエンス~

 

「アナと雪の女王(原題”Frozen”)」は、ご覧になっただろうか。華やかなミュージカル仕立てのアニメーションで、自分の本質を大切にすることを謳いあげたディズニーの作品である。劇中の挿入歌で大ヒットした「Let It Go ~ありのままで~」をはじめ、生き生きとした楽曲が多数ちりばめられ、美しい映像とともに心を奪われる。

 

 アナとエルサは、王家の仲の良い姉妹で無二の親友でもあった。姉のエルサは、身の回りのものを氷や雪に変えてしまう特別な能力をもっていたのだが、都合の悪いことに感情の昂ぶりでその力を制御できなくなるときがあるのだった。ある時、不慮の事故で妹にけがをさせてしまったエルサは、人目につかぬよう部屋に閉じこもり、大好きだった妹をも避ける生活に身を置くようになる。

 成人したエルサの戴冠式の日、天真爛漫で好奇心の強いアナと控えめで落ち着いたエルサは、久しぶりに仲の良い姉妹に戻っていた―ちょっとした出来事にエルサが平静を失い「禁断の力」を晩餐会の場で見せてしまうまでは…。困惑したエルサは、一人雪山へと身を隠すように逃亡する。そこで、彼女が歌うのが、「Let It Go ~ありのままで~」という、言うなれば彼女自身の独立宣言である。

 

 ところで、「Let It Go」は、「済んだことは、さっさと忘れてしまいなさい」というような意味だ。「ありのままで」なら、「Let It Be」のほうがその言葉の意味に近いのだが、韻や口の動きなどを考慮して、最もピッタリくる「ありのままで」という表現にしたという。

 嫌なことがあったり心に不安を抱えたりして悩んでいる人に、「気にしない。気にしない」と呼びかけるのが「Let It Go」という言い方なのだ。自分を抑えつけていた自分自身に決別することで、今まで気づかなかった新しい自分を発見し、未来へ向けて新たな一歩を踏み出そうというエルサの気持ちを表現したものだ。

 

 危機的な状況に直面しても、それをバネとして生きていく力を「レジリエンス」というのだけれど、エルサはまさにこの力を備えていたといえる。しなやかさを備えた人は、深く悩み苦しむ過程で、耐え抜くことや努力を重ねることの大切さを学び取る。そして、その人のもつ楽観性が、自身を大局的にとらえることを可能にし、成功も失敗も価値ある自分の人生だと気づかせてくれるのだ。

 「これからはありのままの姿を出して生活するのだ。過ぎ去ったことは、自分の後ろに置いて、前だけを見て過ごすのだ」というこの歌がメッセージとしてもつ「自己解放」が、多くの人を元気づけ、共感を呼んだことは大いにうなずける。

 

 映画は、アナがエルサを探し連れて戻る旅を描くのだけれど、途中で出会う氷商人のクリストフとトナカイのスヴェン、そして歌って踊る雪だるまのオラフとともに繰り広げる出来事は、小さな子どもたちにとっても愉しめる内容となっている。

 

 アンデルセンの「雪の女王」にヒントを得て作られたというこの作品。魅力的な二人の姉妹を主人公に、凍てついた心を本物の愛で解かす物語が多くの人を感動させた。まだ、観ていない方はぜひ!(G)

 

2013年・米・102分・ウォルト・ディズニー・スタジオ配給

 

 

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