トイ・ストーリー3

 

もったいない

 

おもしろい、おもしろい、もうひとつ言っちゃおう、おもしろい!トイ・ストーリー(1995年)で、おもちゃに生命を吹きこみ、トイ・ストーリー2( 1999年) では、おもちゃ本来の目的とはかけ離れた大人のコレクションとしての運命を描いたこのシリーズの第三弾ができた。今回は、大切にしてくれたアンディが成長して大学生になっていき、おもちゃの使命が終わってしまうというお話。

 

ウッディ(カウボーイ人形)とバズ(宇宙飛行士人形)は、誰に触れられることも無くおもちゃ箱の中に何年も入ったままだった。家を離れ大学へ旅立つことの決まっているアンディは、母親にせかされておもちゃ箱のおもちゃたちをゴミ袋に入れ、屋根裏部屋へ持っていくはずだった。しかし、ちょっとした手違いで彼らは近所の保育園に寄付されることになってしまう。

最初は、「この保育園でずっと子どもたちと遊ぶことができる」と期待したおもちゃたちだったが、子どもたちの荒っぽさに先行きの不安を感じるのだった。そして、意地悪なおもちゃのボス、ロッツォという名前の紫色のクマのぬいぐるみが園内のすべてのおもちゃたちをおさえつけていることを知り、とうとうウッディたちは、みんな揃ってこの園を脱け出しアンディのもとへ帰る決意をする。たとえそれが、これからずっと屋根裏部屋で過ごすことを意味するものであっても・・・。そして、お話は、かのポール・ニューマン主演の映画「暴力脱獄(1967年)」をほうふつとさせる大脱走冒険物語へと展開していく。

 

「トイ・ストーリー3」は、家族向けの映画としてはとんでもなく円熟したテーマを提示してくれる。大切にしてきたものを捨てることと役に立たなくなったものの末路だ。誰も遊んでくれなくなったおもちゃたちはどうなるのだろう?保育園に寄付されるか、屋根裏か地下室に閉じ込められるか、それともゴミとして捨てられるのか。この作品は、機能を失くした「物」たちの窮状と悲哀に真摯に向かい合う。

 

環境や人権に対する長年の貢献が評価され、2004年ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんは、日本語の「もったいない」という言葉に出会い、とても魅力を感じたという。それは、この言葉に「無駄にしない」という意味合いだけでなく、「尊重・尊敬する」や「感謝」の気持ちが含まれているからだと説明してくれた。私たちが「物」に向き合うとき、ただ「所有する」のではなく、それを「生かす」こと(=生命を吹きこみ働く場所を与えること)が大切なのだ。そうすることで、尊敬や感謝の念も湧いて来るのではないだろうか。そして、それは「人」についても同じことが言えるのだと思う。

おもしろくて、考えさせられて、見事に描かれた心のこもった映画が、大人にも子ども時代の夢と希望と空想を思い出させてくれる。完璧な三部作の完結編として完璧な結末を準備してくれたこの作品を見逃すわけにはいきません。(G)

 

10年・米・103分・ディズニー配給

 

 

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