クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ オトナ帝国の逆襲

 

未来を切りひらく原動力は「なかまづくり」・・・?

 

このレビュー書くためにこの映画をもう一度観ようとDVDを買いに行きました。ん?・・・ない!置いてない??さんざんさがしたら、ありました。幼児向けの棚に並んでました。うそ~、この映画は子ども向け?

 

春日部に誕生した『20世紀博』。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界にひたれるテーマ・パークでした。子どもそっちのけで博覧会に熱中していくオトナたちを、しんちゃんたち「かすかべ防衛隊」の面々はあきれながらも心配そうに見ていました。そして、ある日オトナたちは皆子どもを置いたまま『20世紀博』へ行ってしまいます。オトナを助ける(?)ために行動を開始する「かすかべ防衛隊」。

挑む相手は、このテーマ・パークを利用し、21世紀をなかったことにして、再び世界を20世紀の時代に返そうとたくらむ悪の軍団「イエスタディ・ワンス・モア」。その中心人物は、ケンとチャコ。彼らは20世紀の「におい」を武器にして日本各地のオトナたちを次々に虜(とりこ)にしていったのです。

 

大阪万博の忠実な描写で始まるこの映画、中でも描かれる彼らが作った20世紀の街並み、・・・そう40歳代の読者のあなた、あなたもこの映画を観たらきっと虜になりますよ。圧巻なのはひろしの子ども時代からの回想シーン。わずか数分のセリフのないこのシーンでオトナであるあなたと隣に座る子どもの切っても切れない絆が確かめられることでしょう。

過去にすがるか、厳しくても現代に目を向けるか、こんなテーマがこの映画の根底にあります。子どもと一緒に映画を観に来たオトナをターゲットにしているのは見え見えですが、現にそのテーマ性ゆえに大きな評価を得ました。その年のある映画誌では堂々第1位!ちなみにこの年はアニメは「千と千尋の神隠し」が興行収入三百億という驚異的なヒットをした年。その陰に隠れた名作なのです。

クライマックスでは、しんちゃんが走る走る。えっ?アニメなのにカメラも走る走る。ケンとチャコの陰謀を阻止するために正義の味方しんちゃんが必死で走ります。

力つきて倒れても、自分たちの未来を守ろうとケンの足にしがみつくしんちゃん。「現実の未来なんて醜いだけなのに!」とののしるチャコに、しんちゃんは訴えます。

「(家族のみんなと)もっと一緒にいたいからケンカしたり頭にきても一緒がいいから・・・大人になりたいから・・・」

 

意見の違いや考えの違い、違いがあるからこそ対立することもある。腹が立つこともある。そういうことがあって当たり前。でもそれが一緒にいるということだとしんちゃんは訴えます。同和教育ですすめてきた「なかまづくり」がここにもあるような気がしました。「なかまづくり」は決して「なかよしづくり」なんかじゃないと・・・。

その「違い」は、この作品の中でも「かすかべ防衛隊」のメンバーの個性的な姿で描かれます。大いに各人の持ち味を発揮してスクリーン狭しと暴れ回り、私たちを楽しませてくれるのです。きっと子どもたちも大喜びでしょう。その「違い」こそ未来を切りひらく原動力だといわんばかりに描かれます。

映画を観終えた子どもたちはきっとしんちゃんのような冒険を夢見て、友だちと「防衛隊」を作ることを夢見て・・・映画館をあとにするでしょう。

映画を観たオトナは、映画の中で現実に戻り、映画を観終えてさらに現実に戻ります。うーん、奥が深い・・・。

まだ観ていないあなた、だまされたと思って一度観てみてください。感動モノですヨ(尾)

 

01年・95分・シンエイ動画

 

 

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